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日々、現場で踏ん張ってくれているみんなへ。

2025.7.5

ちょっとだけ昔話を聞いてほしい。

今、君らの中には「なんか最近しんどいな」とか、「これ以上頑張っても先が見えへんな…」と思ってる人がいるかもしれない。
そんな気持ち、俺にもあった。いや、むしろ、ずっと持ってた。

今回は、俺が“あの現場”に飛び込むことになった時の話をしようと思う。
別に真似しろとは言わん。ただ、「こういう道もあるんやな」と思ってくれたらええ。

■ はじまりは、ちょっとした“暇つぶし”

あるプロジェクトが一段落して、俺は系列の家電量販店でアウトレットパソコンの販売や設定相談のカウンター業務をしていた。
正直、退屈だった。収入もそこそこ、独身で遊ぶ金には困らず、毎晩バーで常連仲間と笑っていた。

そんなある日、妙にマニアックな質問ばかりして、小物だけ買って帰る謎の“お客さん”が現れた。
数回目のやり取りで、とうとう俺は言った。

「ルーター持ってきてください。設定やってあげますよ。」

そしたらこう返ってきた。

「いくらで?」

「暇つぶしなんで、タダでいいです。」

ほんまに暇つぶしのつもりやった。そもそも業務外やし、売上にもならん。
でも、そこでその人はこう言った。

「ほな、このルーター買うわ。」

たまたま隣にいた副店長が「それ、在庫余ってるし安くしたるで!」と即興の値引き。
そのお客さんは、迷わずそれを買っていった。

──後で分かったことやけど、その“お客さん”、実はとある現場の親方やった。

■ 偶然の再会?それとも“段取り”?

その後しばらく、その“お客さん”は量販店に来なくなった。
でも、偶然かどうか──いや、たぶん必然やったんやろう。
俺が通ってたバーで、またちょいちょい顔を合わせるようになった。

しかもいつの間にか、あの時一緒に店に来ていた“謎の女性”も、バーの常連のように出入りしていた。
何者なのか分からないまま、ただ「妙に馴染んでるな」とは思っていた。

■ 飲み仲間が仕掛けてきた“相談”

そんなある日、バーで飲んでると親方がこう切り出した。

「中西君、今度日中空いてる日ない?」

その時、隣に座っていたのが──その“謎の女性”だった。
後に俺が副社長と知ることになる人だ。

「ちょっと相談したいことあるのよ?」

「技術相談ならなんばの量販店まで来てくださいw」

「ちょっと違うのよ。もう少し大きな話。」

──こわいって。

「お茶だけ?ケーキつけてくれたら行くっす。」

「もちろんつけるつける!」

…というノリで、純喫茶での“お茶会”が決まった。

■ 出されたのは“加入条件付き”の席

喫茶店でケーキを食べてると、いきなりこう言われた。

「うちのPC設置チーム、追加募集してるんだけど…来ない?」

条件もシフトも悪くなかった。
それ以上に興味を惹かれたのが、その働き方の“仕組み”だった。

親方からは、今関わっている現場の契約形態について詳しく説明を受けた。
現場はすべて業務委託ベースで回っており、チーム単位で案件に対応。
一定の成果を出せば、「親方」として正式に紹介され、
ゆくゆくは“株分け”という形で、チームごと任せてもらえる可能性もあるという。

大きな組織で枠の中にいた頃とはまったく違う働き方。
それを聞いて、俺はこう聞き返した。

「将来的に、自分のチームを持ってもいいですか?」

親方は少し笑って、

「ええよ。親方として紹介する。株分けも考えてる。」

と言ってくれた。

その時、腹が決まった。

■ 初仕事:現場で、俺は“放り込まれた”

前職の引き継ぎや挨拶も数週間で済ませて。
好条件の引き留めもあったけど、大きな会社の中で感じる“頭打ち感”もあり、俺は新しい場所を選んだ。

道具を揃えて現場に向かう。
とある訪問修理センターの拠点で、軽く紹介されたあと──

「ほい、今日の伝票。説明せんでもわかるやろ?」

おいおい、またこのパターンかい。
でも、言われんでも分かった。いや、やれた。

■ そして帰社、副社長いない

現場を終えて戻ると、副社長がいない。

朝は言うてたやん?「事務処理は私がやるから」って。

呆れて立ち尽くしてたら、現地の社員さんが笑いながらこう言った。

「あいつらいっつもこうやねん。可哀そうにw」

そして、やり方をサラッと教えてくれた。

──これが、俺の“親方人生”の始まりやった。

■ 最後に

これが、俺のデビュー戦やった。

ただ、ひとつだけ言うておく。
この話を「昔はよかった」とか、「お前らも同じようにやれ」とは、全く思ってない。

時代は変わった。
今の現場はもっと縛られてるし、君らが置かれてる状況のほうがずっとしんどい。
自由に動ける余地なんか、最初から与えられてないことも知ってる。

けどな、それでも「こういう道もあった」という事実を、
“参考にならん昔話”として終わらせたくなかった。

誰かの中で引っかかるものがあればそれでええし、
「こんなんでもやれるんやな」と思ってもらえたら、十分や。

真似せんでええ。
でも、もし今の場所にずっとモヤモヤしてるなら──
“どうしたいか”を一回、自分に問い直してみてほしい。

困った時は、俺に言え。
その悩み、今の俺ならわかる気がするから。

■ 次回予告

けど、ここで話は終わらへん。
この“放り込まれた現場”から、どうやって俺がのし上がっていったのか──
いかにして周囲に信用され、チームを築いていったのか。

次回はその続きを話そうと思う。

「俺はどう立ち回り、どうして“現場の親方”と呼ばれるようになったのか」

現場には、クセのある店長が2人登場する。
彼らとの出会いが、俺の“その後”を大きく変えていくことになる──