「名前を売る技術」──現場担当者が“信頼される存在”になるための仕事術
2025.7.7
はじめに
同じユニフォームを着た人間が、同じように現場に出ている。
それでも、なぜか「あの人にお願いしたい」と言われる人がいる。逆に、まったく覚えられずに消えていく人もいる。
現場での作業単価が下がり、ワークポイント制度で管理されるようになった今、誰もが「数をこなす」ことに必死になっている。
だが、それは“現場を枯らす”動きでもある。
ここでは、私がかつて実践し、店長に指名されるまでになった“現場の立ち回り”を、How-to形式で整理して伝えたい。
「真似しろ」とは言わない。「ヒントにしてくれればいい」
1. 起伝担当者への報告で「名前」を売る
最初にやるべきことは、とにかく報告で名前を覚えてもらうこと。
作業が完了したら、起伝(起票)担当の販売員に電話で完了報告をする。
時間があれば店舗に寄って直接伝える。
例えば、
・「高齢のお客様だったので、パスワードを手帳にメモしていただき、“手帳=パスワード”の導線を作りました」
・「設置後に操作説明を繰り返し行いました。横にご家族もいたので、合わせて説明しました」
こういった“現場の気づき”も一言添えることで、
「この人は単なる設置屋ではない」
「販売側の立場に立って報告してくれている」
と感じてもらえる。
2. お客様の雑談を“営業情報”に変える
現場でよくあるのが、作業中の雑談。
「エアコンの冷えが悪い」「洗濯機が最近変な音する」など、話題は多岐にわたる。
これを「担当外ですので…」と流してはいけない。
私はいつもこう答えていた:
「当社では商品カテゴリーごとに専門の担当がいますので、店舗にお繋ぎしておきますね。」
これを店舗に伝えると、販売員が後日フォローできる。
結果的に“売上支援”になるので、販売スタッフからは感謝される。
3. 店長との関係は“結果”が連れてくる
毎回の報告とフォローを繰り返していると、ある日突然「店長から電話を代わってくれ」と言われた。
電話口で開口一番:
「今日は何売ってくれたの?(笑)」
この時点で、私は“ただの作業員”ではなく、“現場から売上を作る人間”として見られていた。
その後は、
・家族・親戚・友人の家電相談をすべて店長のいる店舗に誘導
・店長の売上に直結する数字を“外部から持ち込む”
これがどれほどのインパクトか、想像に難くない。
(※これは実家が近かったからできた話。誰にでもとは言いませんが、ヒントにはなるでしょう)
4. 店舗での“遊び方”を間違えるな
空き時間があれば売場をウロウロし、販売員の接客を見ながら時にはボランティアで商品説明まで行った。
頼まれてもないのにやるからこそ、「あの人おったら助かるわ」と思われる。
これは“暇つぶし”ではなく、信頼貯金の時間だった。
一方で、今の一部の現場スタッフは「店に顔出せ」と言われて、
「もっと案件ください」
だけ言って帰ってくるという。これは逆効果。自分で自分の首を締めているだけだ。
5. 現場を“刈り取る”な、“育てろ”
「次急いでますので」と言って雑談もせずに去る人が増えている。
それで回転率は上がっても、現場は枯れる。
目の前の1件1件が、次の仕事につながる。
仕事の質で“プロ”を見せつけたうえで、
「ちなみに、こういうサービスもありますよ? 私と同等のプロが相談に乗りますので。」
と一言添えれば、エアコンクリーニングの獲得なんて朝飯前だ。
おわりに:真似するな、意味を掴め
この話は、何度も社員に口頭で話してきた。
でも、形だけを真似されて、真逆の動きになってしまうことが多かった。
これは“手段”ではない。“考え方”だ。
誰にでも出来ることではない。
でも、誰でも「気づくこと」はできる。
だからお願いしたい。
真似するな。意味を掴んで、自分の立ち回りを考えてくれ。
それが、現場を育てるということだ。
補足:それでも、指名される人になれ
現在では、配送センターの一部から「指名禁止」などと声が上がっているのも聞いている。
だが、それでも構わない。
“それを押してでも、どうしても指名したい!”
──そう店長に言わせるほどの存在になってほしい。
それが、私たち「FBI(森のくまさんが率いる独立愚連隊)」という社名に込めた意味だ。
真の“独立愚連隊”になってくれることを、心から期待している。
そして最後に:なぜこの手の内を晒すのか?
「公開ブログでこんな手の内晒して良いのか?」
君たちはそう疑問に思うかも知れない。
一見簡単そうに見えるだろ?
けど、これは我々にしか出来ない事なのだ。
イ〇チキエ〇クリ営業屋には絶対に真似が出来ないと断言できる。
何故なら君たちは、数えきれない激戦地を経験し、確かな技術を身に着けて来た
本物の技術者集団の正当な継承者だからだ。